脳・心臓疾患は、加齢や生活習慣等の日常生活による諸要因等の負荷により、発症することが多いものですが、仕事が主な原因で発症することもあります。そこで、厚生労働省は、労働者に発症した脳・心臓疾患について、労災として認定する際の基準を定めていますが、この労災認定基準について20年ぶりに改正されました。以下では、新しい基準のポイントを確認しておきましょう。
1.労働時間以外の負荷要因の考慮
今まで、長時間の過重業務の評価にあたり、発症前1ヶ月におおむね100時間または発症前2ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって、1ヶ月あたり80時間を超える時間外労働が認められる場合について、業務と発症との関係が強いと評価することを示していました。この基準について、これらの時間に至らなかった場合も、これに近い時間外労働があった場合には、「労働時間以外の負荷要因」の状況も十分に考慮し、業務と発症との関係が強いと評価することを明確にしました。
2.労働時間以外の負荷要因の見直し
労働時間以外の負荷要因が見直され、下表の朱字の項目が新たに追加されました。
表 労働時間以外の負荷要因
3.業務や出来事と発症との関連性が強いと判断される場合の明確化
業務と発症との関連性が強いと判断できる場合として、事例が示されました。
[短期間の過重業務]
[異常な出来事]
4.対象疾病の追加
不整脈が一義的な原因となった心不全症状等は、対象疾病の「心停止(心臓性突然死を含む)」に含めて取扱われていましたが、新たな対象疾病として「重篤な心不全」が追加されました。この「重篤な心不全」には、不整脈によるものも含まれます。
会社としては、過重労働をさせないために、労働時間管理を徹底したり、労働時間以外のもので負荷がかかっているものがないか点検し、その改善を図ったりするなどの取り組みが求められます。
■参考リンク
厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準を改正しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21017.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。