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テレワーク導入後に発生する課題

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点や今後の働き方の選択肢のひとつとして、テレワークを推進している企業が増加しています。そこで今回はテレワーク導入時の留意点として、テレワーク中のケガと、中抜け時間の取扱いについて確認しましょう。

1.テレワーク中に負ったケガ
オフィスで業務をしている最中にケガをしたときは、業務災害として労災保険(労働者災害補償保険)の補償の対象になります。自宅等でテレワークを行っているときに負ったケガも、オフィスでの勤務と同様に、使用者の支配下にあるときは、業務災害として労災保険の補償の対象になります。
業務災害と認められる例としては、「自宅で所定労働時間にパソコン業務を行っていたが、トイレに行くため作業場所を離れ、作業場所に戻り椅子に座ろうとして転倒した」というものがあります。これは、業務に付随する行為に起因して災害が発生しており、私的行為によるものとも認められないため、業務災害として認められることになります。一方、就業時間内であっても、自宅内のベランダで洗濯物を取り込む際に転んでケガをするような私的行為に起因するものは業務以外が原因であることから、就業時間中に発生したとしても、業務災害の対象外となります。
テレワーク中にケガをした場合は、会社や医療機関等が災害発生状況等を正確に把握できるよう、従業員に可能な限りその状況を記録することを周知しておきましょう。また、発生した時間が就業時間内であることを確認するために、パソコンなどの情報通信機器の使用状況といった客観的な記録や、従業員から申告された時間の記録を適切に保存することも必要です。

2.就業時間内の中抜け時間
テレワーク中に発生しやすい事象として、就業時間の途中に業務から離れるいわゆる「中抜け」があります。2021年3月に改定された「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」では、この中抜けの時間について、労働基準法上、会社は把握しても、把握せずに始業および終業の時刻のみを把握しても、いずれでもよいと示されています。会社が把握する場合には、その方法として例えば一日の終業時に、従業員から報告させることが考えられます。そのときには、中抜け時間の取扱いが問題になりますが、次の方法などが考えられます。

  • 把握する場合には、休憩時間として取扱い終業時刻を繰り下げたり、時間単位の年次有給休暇としたりする
  • 把握しない場合には、始業および終業の時刻の間の時間について、休憩時間を除き労働時間とする

テレワークを運用する中で、人事労務に関するさまざまな課題が出てくるかと思います。テレワークの導入や運用においてお困りごとがございましたら、当事務所までお気軽にご連絡ください。

■参考リンク
厚生労働省「テレワーク総合ポータルサイト」
https://telework.mhlw.go.jp/
厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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