労働安全衛生法で1年以内ごとに1回、定期健康診断(以下、「健康診断」という)を実施することが義務付けられています。厚生労働省では、毎年9月を「職場の健康診断実施強化月間」と位置付け、健康診断の実施、その結果についての医師の意見聴取およびその意見を踏まえた就業上の措置の実施(以下、「事後措置等」という)について、企業に改めて徹底することを促すために集中的・重点的に啓発を行うとしています。そこで、今回は2021年の重点事項の内容とその中から事後措置等をとり上げます。
[1]2021年の重点事項
2021年8月5日に公表された「「職場の健康診断実施強化月間」の実施に関する協力依頼について」では、重点事項として以下の内容を掲げています。
[2]事後措置等の実施の徹底
重点事項の中から、事後措置等の実施の徹底についてとり上げましょう。
健康診断を実施すると、一般的には健康診断の結果の通知が会社へ送られてきます。会社は、この健康診断の結果を受診者全員に文書で通知する義務があります。そして、この結果の中で、異常の所見があると診断された従業員に対して、健康診断実施日から3ヶ月以内に、以下の3つの就業区分に従って医師等から意見聴取し、その内容を健康診断個人票へ記載することになっています。
会社は、この医師等の意見を勘案し、必要があると認めるときは、該当する従業員の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じたり、医師等の意見を衛生委員会等へ報告したりするなどの対応が求められます。
事後措置等については、実施が漏れがちになっていることがあります。この機会に実態を点検し、確実に実施していきましょう。
■参考リンク
厚生労働省「「職場の健康診断実施強化月間」について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20331.html
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断実施後の措置について」
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/law/taikou_r02.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。